◎続 たびのつづき
 Review


伊太地山弦楽団によるCD第二弾!!
注目は、天才ピアニスト佐山雅弘による弦アレンジ。


以下、明記のない曲は、作詞・作曲共にDEN-BAY、初出のない曲は、初収録曲です。

【夜明け前に】
編曲:里見紀子
ヴァイオリニスト里見紀子によるアレンジの曲。(佐山雅弘曰く)
言われてみると、他の曲と少し趣が違う気がする。佐山さんのアレンジが主にアンサンブルを基調にしているのに対し、ヴィオラが主に旋律を奏でます。後半、ヴァイオリンが重なってきますが、佐山アレンジとは違った弦のアンサンブルが楽しめます。

【恋のスコア】
編曲:佐山雅弘
佐山さんの遊び心が満載です(笑)
「恋愛を譜面に準えて作った唄」というものの、かつての『DUSTのテーマ』のように弦楽団の紹介を兼ねた曲でしょう。
伝兵衛さんの唄と、紹介され唄う楽器が印象的です。

【川添いの帰り道】
編曲:佐山雅弘
初出:西風

「一番、アンサンブルが綺麗にできてるよね」by佐山雅弘。
佐山さんのアレンジって計算し尽くされたところがあります。それが顕著に表れている曲。

【Wesが聴こえる】
編曲:佐山雅弘
初出:Wesが聴こえる

流石!その一言に尽きる。
伝兵衛さんはもちろん、佐山さんにとっても『Wesが聴こえる(2nd)』からの付き合いの長い曲。
間奏へ入る盛り上げ方、終盤へ向けての演奏は絶品です。
今までの伝兵衛さんと、佐山雅弘というピアニスト、そして弦楽団が感じられるお得な一曲です。

【天使の翼】
編曲:佐山雅弘
ヴァイオリンのピッチカートがこの曲の雰囲気を、より良いものにしてます。
でね、脱線するんですが、ピッチカートというのは、弓で弾くのではなく、指ではじく演奏法を言うのです。じゃあ、同じヴァイオリン属のコントラバスを指ではじく演奏法もピッチカートなのだろうか?って。
少し、気になってます(笑)

【MOONLIGHT,
  STARLIGHT】
編曲:佐山雅弘
初出:Wesが聴こえる

『Wesが聴こえる』が伝兵衛商会からの正当な進化であるとすれば、『MOONLIGHT,STARLIGHT』は弦楽によって気品が加えられ柔らかくなった、弦楽団的進化と言える。
それでも、佐山さんのピアノは美味しいところを持って行きます(笑)

【ヤシの葉陰】
編曲:佐山雅弘
初出:DUST-PONTA
   "
THE LIVE"
伝兵衛さんのオリジナル曲で唯一ボサノヴァチックな曲。
まったく、佐山雅弘というピアニストは、器用なピアニストだと。本職はジャズピアニストなのにね。
終始伴奏に徹する佐山さんのピアノが伝兵衛さんのギターと相俟って、弦アレンジとの中和をしている。軽快さを失わないように。

【湘南RAINY DAYS】
補詞:KURO
編曲:佐山雅弘
初出:Wesが聴こえる

知ってる人なら『湘南RAINY DAYS』ってこんな曲だったっけ?と思うハズ。
佐山さんとのDUOに、弦楽四重奏の演奏が重なってくる。そんな感じ。
弦楽四重奏ありきのアレンジではないので、他の曲とはまた違った伝兵衛さんが楽しめます。

【またしてもHI-WAY】
編曲:佐山雅弘
初出:THE THIRD PERIOD

「これを弦楽団でやるとは思わなかった」by伊太地山伝兵衛。
原曲に忠実に弦楽アレンジに変えた、そんな感じ。そんな感じだからこそ、あれっ?こうだったっけ?と思う。
そうなんだよね、この曲の始まりは本当は、こうなんだよね。
でも、佐山さんのソロがワンコーラスだけなのは、少し、残念。やっぱり、ライヴで聴け!って事?

【おさななじみ】
作詞:永 六輔
作曲:中村八大
編曲:佐山雅弘

前回『大きな古時計』をカヴァーした伝兵衛さんが、デュークエイセスの名曲『おさななじみ』に挑みます。
でもね、実は佐山さん、本家デュークエイセスのバックでも時々ピアノを弾いてるんです。って事はこの曲も?
原曲を知らないので何とも言えないのですが、ピアノが伴奏を奏でるのは、中村八大に敬意を表しているのでしょうか。

【たびのつづき】
編曲:佐山雅弘
良い意味で裏切られました。
まさか、そう来るとは。
もう、聴いてのお楽しみです。

『たびのつづき』と大きく違うのは、弦楽団のメンバーが伝兵衛の音楽に馴染んできた、という事。
前回の『たびのつづき』では、初顔合わせのメンバーで、収録前に渡された佐山雅弘の譜面を弾いた。だから、どうしても堅さがあった。初々しいとも言える。
しかし、今回は──

『たびのつづき』収録から弦楽団結成、そしてその後2年半にわたり、各地でのライヴ活動。
この収録曲達は、ライヴで演奏されていた曲。そういう意味では、『続 たびのつづき』は成熟したアルバムである。

伝兵衛